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07« 2017/08 »09

プロフィール

へちま

Author:へちま

かくれみのに隠しておけないものを投下。
どれだけ続くかは知らない。
いつか二次創作をしたい。

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二次創作

そのうちやりたい。

・うたプリ トキ春←嶺二



進撃はリヴァエレもエレリもどっちもおいしい。
人の二次創作を見るのはすごく楽しいけど、自分でやるのは骨が折れそうだ。
リヴァイが暴力をはたらいたのはあの演出の必要があったからだからであって、日常的には暴力キャラではないし(暴言キャラではあると思うけど)、普通にいい上官なんだろうなと思う。
しかしエレンを信用しているわけではなくて、だからといって巨人だという偏見だけを持っているわけでも差別しているわけでもなく、部下として班員全員を平等に見ているところが大変素敵です。信用はしてないというのが、こいつ、ちくしょう。
でもループネタでリヴァエレが書きたい。ジャンヌの「7」聞いてたら唐突にそう思った。

n番煎じのループネタ。最初のルートでリヴァイを庇ってエレンが死ぬ。not巨人エレン。
記憶を持ち続けるリヴァイが延々とループ。でもエレンに会えない。10歳のときに巨人に食われて死んでたりする。とにかく会えない。会えるまで探し続ける。
再会したらジャンヌの「7」みたいな無茶苦茶を言ってほしい。個人的にリヴァイは年齢もあるし、がっついたりするタイプではないと思ってる。読むのは好きだけど。どっちかっていうと見守るが近い。最終的には「できねえなら今ここで死ね」って言ってほしい。もちろん兵長が手を下します。勝手に死なれるとか最悪。
再会したエレンはいつも通り純真無垢で可愛くて、大概のことは受け入れるけど、最後になって、「あなたを守って死んだことを罪になんてしたくありません。そのことに対する言い訳だってひとつもありません。この心と肉体はすべて、あなたに捧げましたから」ってにっこり笑ってほしい。
本当はずっと全部覚えてて、その上でリヴァイの言うことに全部従ってたちょっと大人なエレンがおいしいと思います。心臓も元気玉方式で兵長がまとめて巨人にパワーぶっ放せばいいのに。


ほんと、女体化とか退行とか、みんな考えること同じすぎて吹く。
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久しぶりに


こっちに載せるようなものを何か書きたいような気がする。
最近自重しなくなってきたからある程度のものは書けてしまう気がするんだよなあ。


理央が病んでいく話は個人的にかなりやわらかい話なので、そこまで暗いもんではない。
基本的に理央が初めての独占欲だとか嫉妬心だとかに右往左往してどうしたらいいかわからなくて、結局ちょっとずれた行動をとるってだけの話なので。
となると暗い話につきものなのは奈央。でも毎回奈央使うのもなあ。
いっそルミを使うのもいいのかもなあ。リアルにACUTE書くとかな。いや、でも流風ルミ慎吾だと結果がわかりきってる……!!
タっくんは今リベリオンでいっぱいな感じなんで、できれば違う人使いたいな。ルミかあ。久々に大和と絡ますのもいいかもな。流風ルミ大和か。大和負けるよなあ、そしたら。


てな感じで、丸木先生の新刊を買ってきた。普通の本屋じゃ見かけないしなかなか買えないから通販で頼もうと思ってたけど、たまたま本屋にあったので買ってみた。丸木さんの話はコイビト遊戯やって、あとNL小説2冊とBL小説1冊読んだだけだが、ほんと倒錯してるなこの人の話はwww
後半になると愛情もへったくれもねぇなこいつらwwwみたいな話になるのがすごく好きです!
たった二人で世界を裏切る。は純愛だったが、それにしてもネジ飛んでるとしか思えん。
今回の話はこれまでで一番好みかもしれん。まあちょっと丸木作品にしては濡れ場が薄いのかもしれないけど、X文庫でこれだけやりゃ十分でしょ、って感じもする。ホワイトハートってアリスのノベルも出してるところなんですねえ。
表紙見てると雄介確かに人形ぽいが普通にイケメンだな。夜神月系の顔をしている。
しかしやっぱり上手いなあと思う。丸木作品読んだあとルビー文庫の本とか読めたもんじゃねぇよ……。レベルがまるで違うだろ……。
どうしてこんなにバッドエンド書くの上手いんだろうなあ。いっそ羨ましい。うちのキャラ使ってもらったら一体何が起きるんだ。慎吾は丸木作品にすごくハマりそうなキャラだからちょっと気になる。


お風呂に入ってちょっと考えよう。ルミ使うのは悪くないと思う。やっぱACUTEかなあ。
一昨年がmagnetで、去年が瑶子さんの話だったか。今年は暗いのがいいなあ、やっぱり。
BLでもいいんだけど全然思いつかない。

CDG  2




 そもそも俺はできた人間なんかじゃない。高校の頃なんかはヤンチャやってた方だ。真面目すぎるくらいに真面目な人生を送ってきた覚えは、あまりない。それなのに今学校で生活指導なんてしてるのは、それが瀬川空らしいからなんだろう。使えもしない竹刀振り回して、ジャージ姿で不良生徒追っかけ回して。そういう方が俺らしい、俺っぽい、と誰かが、誰もが思っているから。イメージを誰かに作ってもらえるほど楽なことってないだろ? その通りに生活してりゃ俺は俺でいられるわけだし。ただ俺の場合苦痛だったのは、一人でいる時以外はずっとその皮をかぶり続けなければならなかったことだ。恋人の前でもこの皮を脱ぐことは許されなかった。というよりも、誰よりも俺の恋人が俺らしさを望んでいた。皮肉な話だ。
 年をとるごとに考え方が汚くなっていく。嫌だなあ、と思いつつも、それが自然なことだと分かっていた。そんなもんだって思っていた。誰もがそうなんだって思っていた。だから奈央も、きっとそうだろうと思っていたのに、奈央はやっぱり違った。理央も違った。どこまでいってもあの二人は羨ましいくらい綺麗なまんまで、汚いことも暗いことも何も知らない。俺が俺の仮面かぶってるって知ったらお前らどんな顔すんだ? 俺は外してみたいよ、お前らの前で、俺ってこういう人間なんだぜって言ってやりたい。けどそうすることは最後までできなかった。なんにも知らない二人だけど、そんな二人だからこそ、そんな奈央だから、そんな奈央でも、俺は大好きだし心から愛してるし、何よりもそういう人間の汚い部分になるべく触れて欲しくなかった。俺のこの躊躇も悪かったんだろうとは思う。
 俺は汚い人間だよ。どうやったって奈央が欲しくて仕方ないんだ。どんどん考え方が汚くなっても、それでも昔とひとつも変わってないと断言できるのは奈央への気持ちだ。奈央が好きだ、本当に好きだ。
 奈央が好きだからこそ、奈央が俺に恋愛感情を持っているわけでないと分かって、紗央にあれだけ酷いことをしても一番自分に腹が立った。
 なんだよ、なんなんだよ、それ。
 それじゃあ今まで俺と一緒にいて、俺に触れられて、俺に抱かれて、奈央はどんな気持ちでいたんだ。俺を殺したいほど憎いと思ったんじゃないのか。


 どうしたって俺は今、奈央にシアワセになってもらうこと以上に自分のシアワセを見出せない。





 あの事件があってからはなるべく仕事を早く片付けるようにして、部活もアンドゥーに押し付けて、なるべく早く帰るようにしている。あんま人に見せてていい顔じゃないと思うんだ。後ろめたい気持ちがないわけじゃない。後悔もないわけじゃない。でも、その気持ちは表に出しちゃいけない。そうしたら筋が通らなくなってしまう。俺には俺の理由があって、正当な理由があってああしたんだから、後悔なんかしちゃいけない。
 書類だとかの荷物を鞄に詰め込むと、「お先ー!」と声を掛けてから職員室を出た。寄り道することなく職員用の通用口で靴を履きかえる。

「今帰りか?」

 外に飛び出そうとした俺の背に声がかかった。振り向くと、俺の大親友の顔がある。声でわかってたけど、一瞬俺、ぎくってした。

「おう、理央も?」
「ああ、たまには早く帰るのもいいだろ」
「――――」

 時計を見た。まだ七時前だ、理央にしちゃ早すぎる。
 どうせ俺に話があるんだろ、それならそれで早く言えばいいのに下手なところに気回すんだよな、昔から。

「……だよな、あんまり職場に長居すんのもよくないし」

 わかってんのに俺は思ったことを言えない、なんでこんな時だけオトナの対応できんだろうな。
 理央と一緒に校舎を出て、そのまま並んで校門まで歩く。同じ職場ではあるけど、何だかんだでこうして一緒に帰ることなんて滅多になかったから新鮮だ。
 なんつーか、中学とか高校の頃に戻ったみたいで、すんげー懐かしい感じもする。

「すげー久々じゃね? 一緒に帰んの」
「あんまりないからな、同じ時間に帰るなんて」
「理央が頑張りすぎなんだよ。ガッコ、そんな楽しいかー?」
「家に持って帰るのが好きじゃないんだよ」

 下校時刻を過ぎたばかりだから、駆け足で校門へ向かう生徒たちの背に声をかけて歩く。
 理央が何喋りたいのかは大体分かってるはずなのに、どう切り出すのか理央の表情からはなかなか読めなくて悶々としている。
 早く始めてほしい。
 罵倒するならそれでもいい、殴るんでもいい、何だっていい、ただ早く、俺を楽にしてくれないか。



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CDG  1




「じゃ、今日はここまでな。自分が困らない程度に復習はしとけよー」

 4時間目の授業を終える言葉を告げれば、生徒たちは待ってましたと言わんばかりの様子で、俺の言葉が終わらないうちに昼飯の用意を始めた。ま、学生なんてそんなもんだろう。俺だって高校の頃はそうだった。道具をまとめて教室を出る。今の授業はA組、5時間目は空きで、6時間目はC組。担任やってるクラスならまあ気楽だ。
 ――俺が紗央に“ヒドイコト”をしてから、三日が経つ。
 正直あんまり寝れてない。メシも食う気になれない。でも仕事はする。それなりに空センセイできてる。奈央がいなきゃ俺は“瀬川空らしく”いる必要もないわけで、もっともっと崩れちまうかと思ったけど、想像よりずっと俺の体はタフだった。これまでを崩さない努力をしている。意外としぶとくしがみついてんな、俺。
 職員室に向かって階段を下りていくと、後ろから着いてくる足音があった。気にせず先に進むと、ちょうど距離は半階分。俺からも向こうからも、互いの姿は見えない。聞こえてくる話し声からして、二人組のようだ。

「空せんせーさ、何か最近変じゃね?」
「あ? 普通だろ、別に」
「観察が足りねぇなあ、ヤマトは。……なんつーかさ、らしくないっつーか、んー……、年相応っつーか」
「結構なことだろ、年相応なら」
「俺も悪いって思ってるわけじゃないんだけどさ。今の空せんせーってすげえしっくりくるから」

 流風、と、大和、か。
 流風はあれでなかなかいい目をしてると思う。スポーツと勉強だけできる奴かと思っていたけれど、予想よりは周りが見えているらしい。
 踊り場の隅で足を止めると、流風が言葉を続けた。

「今までのってイメージ操作だったのかなあ、とか」
「お前さあ、観点はよくても視界狭いよな。前見えてねぇんだろ」
「は?」

 呆れたような大和の声で、流風も踊り場に俺がいることに気づいたらしい。あ、と間の抜けた声を上げると、ぴょんと立っていた段から俺のいる踊り場へ飛び降りた。運動神経がいいだけあって、着地も綺麗なもんだ。続いて大和が階段を下りてくると、流風は手にしていた弁当の包みを大和に手渡した。大和の手にも自分の分らしい弁当の包みがある。

「これ持って席取っといて。あ、あと購買で焼きそばパンよろしく」
「あいよ」

 大和は何もなかったかのように俺の横を通り過ぎて、タンタンと音をさせて階段を下りていく。食堂で昼食をとるつもりなんだろう。
 教室に一番近い階段なら他の生徒もたくさん通るが、俺は職員室に近い階段を使ったからこの時間生徒はほぼ通らない。流風も職員室に用があったんだろうか。

「昼食う時間なくなるぞー? 早く行った方がいいんじゃねぇの?」
「いや? 俺せんせーに用あってこっちの階段使ったんだし」
「俺に?」

 問いかければ流風はその整った顔に満面の笑みを浮かべる。

「さっきの聞いたっしょ? 変だ変だって思ってたから、実際どうなんだろうなあって思って」
「イメージ操作云々っての? うっわ、そんな俺カッコよくね?」
「うん、俺もそう思う」

 ひゅう、と口笛を吹く。そう正直に流風が俺を褒めるなんて有り得ないから、これは裏があって言っていることだ。 
 空センセイならどうする? 奈央の求める瀬川空はどう動いただろう? 「流風お前俺のこと馬鹿にしてんだろー!!」って? これが正解か?
 正解が分かったところでそれは俺自身の答えじゃないから、俺はその通りの行動は取れない。奈央を失った俺は、瀬川空の皮をかぶる必要がなくなった。本当に俺らしい受け答えをすることが許されたってことだ。何が本当の自分なのかわからなくなって、それでも奈央がいてくれるならそれでいいやと思っていた部分ももちろんある。今の状況は、喜ぶべきなのか悲しむべきなのか、判断つきかねるところ。
 流風は俺よりちょい背が高い。それでもそう大して変わらない。制服のルーズな着こなしや茶髪は、空センセイなら叱るところだろうが俺は別にそこまで気にしない。

「流風さあ、モテんじゃん?」

 俺の突然の振りに流風は面食らったようで、少しだけ目を丸くして俺を見た。それから、俺を少し馬鹿にするみたいに笑って壁に寄りかかった。

「そりゃ、空せんせーよりはモテるかもな」
「じゃあ恋愛の先輩として俺の質問に答えてくれるか?」

 流風に何を聞いたところで経験的に実のある答えなんて早々返ってこないことは分かっている。
 ただ俺は納得したいだけだ。俺が思うことに賛同して欲しいだけ。俺が正しいのだと思いたいだけ。俺は間違ってなんか無い。

「流風はさ、一回試合で負けたらそこで終わりなわけ?」
「は?」

 質問にはより驚いた表情を浮かべている。そりゃあ、およそ恋愛とは関係なさそうな話題を振られれば構えていた自分が馬鹿らしくもなるだろう。
 しかし流風は馬鹿じゃない。恋愛の相談と銘打ったからには、試合という言葉をそちらに置き換えることくらいできるだろう。何、喧嘩でもしたの? とでも言いたそうな視線だ。

「俺、負けんの大ッ嫌いなんだよな。一回負けても終わんねぇの、俺が勝つまでがひとつの試合なんだ」

 俺は、そうだ。
 負けるのが嫌いだ。
 俺が勝つまでがひとつの流れで、それ以外なんて嫌だ。
 流風は俺の言葉を聞いて、「へえ意外」と漏らした。

「空せんせーって、負けは負けで潔く認めるもんだと思ってた」

 それはお前らの大好きな空センセイって奴だろ。
 俺が何年もかかって作り上げたでっかい虚像であり、昔の俺そのままでもある。
 空センセイは中学の頃の俺から少しも成長しちゃいない。でも、……今の俺は、ただの大人だ。
 肺に空気をたっぷり吸い込んで、吐き出す。
 ため息をつくのも慣れたもんだった。



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m a g n e t  17



 目覚めてすぐにベッドから下りて、遮光カーテンを開ける。差し込んでくる日差しがとても温かい。四月二十一日の朝だ。
 キッチン周りはまだ所々散らかっているけれど、でも、仕方ないわね、の一言で片付けられる自分がいる。今日は朝から仕事。何を食べようか。床にまだ硝子の破片が散っているかもしれないからスリッパを脱ぐことはできない。案の定、フローリングを二歩三歩と歩くと時々小さな破片を踏みつけるような音がした。
 パジャマ姿のまま、冷蔵庫を開けて中身を確認。レモンパイを焼くつもりだったから、卵はある。食パンもまだ残っているし、使わなかったレモンを紅茶に浮かべてレモンティーにでもすれば簡単な朝食はできそうだ。卵とハム、それからレモンを一個冷蔵庫から出してキッチンに立つと、携帯の着信音が鳴るのが聞こえた。携帯はベッドの傍に置き忘れたまま。この音は、電話だ。
 フローリングの上をスリッパで早足。ぱたぱたという音に混じって、硝子を踏む、ちゃり、という硬質な音。

「!」

 携帯を手に取ると、ディスプレイに表示される名前が一番に目に飛び込んでくる。笑みを隠し切れない。
 通話ボタンを押して、最初のひとことは、

「何よ、時間考えてよね」

 なんて、相変わらず可愛くない。一晩で可愛くなれって方が無理よ。……だから、今の顔だけは見られたくないなあ。顔の筋肉すっごい緩んでるもん。

『るせぇよ、起きてたんだろ』
「当然でしょ、これから出勤だもの」
『目ぇ赤いぞ、絶対』

 う。
 その言葉は痛い。目の前の鏡で確認すると、やっぱりちょっと目が腫れている。あれだけ泣いたら仕方ないじゃない。一生分泣いたわよ。誰のせいだと思ってるんだか。

「……うるさいわねっ、隠していくわよ!」
『俺は化粧の濃い女は苦手だぞ』
「う、……」

 なんか、そう言われると次の言葉が出ない。別に、濃いわけじゃないわよ。そうよ、濃いわけじゃない。……でも、濃いか薄いかなんて感じ方はそれぞれ違うし、奈央のメイクと比べて自分がどうなのかといわれると、……薄いとは言いがたいのかもしれない。
 唸るばかりで言葉の出ないのがわかるのか、電話の向こうでタクは小さく笑った。

『お前そんなんで本当にまともに恋愛してきたのかよ』
「そ、そんなの、別にっ、」
『お前は化粧で隠さないくらいが魅力半減でちょうどいいんだよ、分かったら今日からすっぴんで出勤しろ』
「ば、っ、馬鹿じゃないの!? できるわけないでしょ!?」

 電話の向こうの笑い声はもっと大きくなった。恥ずかしいのと怒りたいのといろんな気持ちが入り混じる。

『んじゃ、俺今日夜勤だからもーちょい寝るわ』
「わ、……わざわざ起きてくれたの、もしかして」
『ばぁか、たまたま目ぇ覚めただけだ』
「……じゃあ、そのたまたまが、すっごく嬉しい」

 さっきまでの笑い声は消えた。代わりに聞こえるのはため息に似た音。
 ……伝えたい言葉は、伝えなきゃ伝わらない。もう伝えられなくなるのは嫌だから、あたしはちょっとずつでも素直になっていきたい。抱えた気持ち全部、受け取って欲しいと思ってしまう。迷惑かな、どうだろう。

『あーあ、やってらんねェなぁ』
「な、何が?」
『んな真っ直ぐ言われたら、たまたま、なんて取り繕ったのが恥ずかしくなっちまう』
「なんだ、やっぱり嘘だったんだ?」
『うるせぇ、三十路過ぎた男が電話のためだけに早起きしましたなんて言えるかってんだ、常識考えろ』
「常識的に考えて、好きな人がわざわざ電話くれたら嬉しいって思うと思うんだけど」
『キャラじゃねぇんだよ』
「そうね、キャラではないかも」
 
 耳元でタクの声を聞けるのは、夢の中だけだって思っていた。夢の中だけでも十分幸せだったのに、こうして電話できて、いつでも会えるなんて。
 ……本当に、本当に、全部なくす覚悟がなければ今こうしていることもできなかった。だから今では奈央にも空にも感謝できる。でも、もう何もなくしたくない。覚悟をするのも本当は嫌。大事なものをなくすのは、想像することだって恐ろしいから。あたしはもう、何一つなくしたくない。

『じゃ、仕事頑張れよ。もう寝る』
「うん、……ありがとう。おやすみ」
『おう』

 通話が切れたのを確認してからあたしも通話を切る。
 朝から運がいいなあ。今日も頑張れそう。
 携帯を手にしたままキッチンへ戻り、テーブルに携帯を置くと、真ん中にちょんと置かれた鍵に自然と目が行った。
 シンプルなキーホルダーに鍵がふたつ。この部屋の鍵と、もう一つ、昨日増えたばかりの鍵。

「…………」

 何も失いたくない。
 できることなら、これからは得るものばかり増えたらいいと思う。
 今日は朝から運がいい。だから、きっと悪いようにはならないはず。あたしにはもう少し、やらなきゃならないことがある。


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